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平成19年度青森県担い手育成アクションプログラム


  1. アクションプログラム策定と策定に当たっての考え方
    • 本県は、食料自給率で117パーセント(平成16年度概算値)、全国第4位と高く、米、野菜、果実、畜産物の生産のバランスのとれた食料供給県となっている。しかも、本県の農業は、蓄積された技術、広大な農地、夏季冷涼な気象など本県の特性を生かした優位産業で、本県経済の基幹産業でもあり、今後ともその一層の振興が期待されている。
      このため、本県の地域特性を生かし、生産から流通・販売までを結びつけ、収益性の アップを図ることを基本に、消費者が求め、必要とする安全・安心で良質な県産農林水 産物やその加工品を生産し、売り込んでいく「攻めの農林水産業」を関係者が一丸となって展開している。
      しかし、外国産農林水産物の大量輸入や産地間競争の激化など農産物をめぐる厳しい販売環境に対応し、本県農業がこれまでに引き続き県経済において重要な役割を果たしていくためには、農業の生産基盤を担う人材の育成が必要であることから、青森県担い手育成総合支援協議会(以下「県協議会」という。)では、地域の関係機関・団体と一体となって、平成19年産麦から始まった品目横断的経営安定対策など国の施策動向も踏まえながら、認定農業者、農業生産法人、集落営農組織といった担い手の育成・確保の効果的な推進に取り組む。
      本アクションプログラムは、こうした担い手の育成・確保に必要な目標とその達成に向けた活動計画・目標を定めるものである。

  2. 担い手育成・確保の基本方針
    1. 総論
      • 農業就業人口の減少や高齢化等に対応して、農業の構造改革が緊急の課題となっている。農業者による主体性と創意工夫を発揮した経営改善が求められるとともに、重要な地域資源である農地の利用促進や耕作放棄地の活用も踏まえて取り組んでいく必要がある。
        平成17年3月に閣議決定された国の新たな「食料・農業・農村基本計画」では、平成19年産から導入する品目横断的経営安定対策や補助事業、制度資金等の施策の対象を担い手に集中化・重点化することとしており、主要な食料供給県である本県としては、国の方向も踏まえた担い手の育成・確保に集中的に取り組んでいく。
        担い手育成・確保を進めるに当たって、認定農業者の大幅な拡大を図るとともに、地域の実情を十分勘案し、多様な担い手が活躍できる集落営農の組織化に努める。
        この場合、集落営農については、品目横断的経営安定対策の対象となる一定の要件を満たす集落営農の設立を基本として、集落営農の組織化・法人化のための合意形成活動等の支援に努める。
    2. 認定農業者
      • 認定農業者の育成については、国の施策の対象ともなる地域農業の担い手として緊急に拡大していくこととし、各市町村の地域担い手育成総合支援協議会(以下「地域協議会」という。)や県の各地域県民局地域農林水産部段階で関係機関・団体を構成員として設置する担い手育成推進チームや品目横断的経営安定対策プロジェクトチームなどと連携して、地域水田農業ビジョンで担い手に位置付けられた農家などの認定農業者候補者に対して、引き続き、

        1. 農業経営改善計画の個別作成指導
        2. 農業者の経営状況の把握や経営目標の設定などを行う経営相談会の開催

        などについて、戸別訪問など積極的な取組みを実施し、これらの候補者を速やかに認定農業者に誘導するとともに、農業委員会活動強化1・1・1運動とも連携していく。
        なお、認定農業者となり、5年を経過した農業者に対しては、農業経営改善計画を作成して再認定を受けるよう強力に指導するなど、認定農業者の資質向上に努める。
    3. 農業経営の法人化
      • 農業経営の法人化は、農業経営の改善を図る上で有効な手段となるものであり、法人数の増加は本県農業を魅力ある職業・職場として育むことにもつながるので、今後とも法人化の利点などのPRを行いながら、条件の整った経営体から順次、法人化への誘導を図っていく。
        また、農作業受託集団や農産加工グループ、さらにスケールメリットを追求する多様な担い手などについては、経営の熟度に応じた法人化を目指す相談が寄せられおり、こうした動きもとらえた法人化を誘導する。
        法人化の一層の推進を図るためには、法人化のメリット、法人化に伴う負担の増加、法人化の手順や事務手続きなどについて、実情に応じた指導・相談が不可欠であることから、市町村及び農業委員会等で開催する法人化研修会の講師派遣や個別相談を行うなど、法人化に向けての活動を積極的に実施する。
        併せて、農業経営改善計画で経営の法人化を志向している者に対しては、法人化の普及・啓もう及び相談活動を実施する。
    4. 集落営農の組織化・法人化
      • 地域の実情に応じて、多様な担い手が活躍できる集落営農づくりを推進するため、重点地区を選定し、経理の一元化に向けた経営管理のあり方、集落営農の組織化・法人化に向けた取組手法などについて、各地域県民局地域農林水産部普及指導室や市町村、農業委員会、JAなどの地域団体が連携しながら、税理士など実務専門家の派遣や研修会を開催するなど濃密に指導していく。
        特に、JA系統組織では、17年度から「多様な担い手が活躍できる集落の営農組織づくり」に強力に取り組んでいるので、関係機関・団体の連携を強めてこの活動を支援していく。

    5. 担い手への農地の利用集積の促進
      • 地域の担い手がそれぞれのニーズに沿った農地の利用集積を進めていくために、地域協議会において農地地図情報システムを活用し、農地に関する情報の整備及び提供に関する活動を強化する。
        また、農地の利用集積の妨げとなる耕作放棄地を解消するための活動や、不在村地主等への指導の推進も併せて実施する。
        さらに、(社)青い森農林振興公社及び市町村段階の農地保有合理化法人が実施する農地保有合理化事業の売買・貸借を活用した担い手への集積や、農業委員会による農地情報提供やあっせん活動の推進など、関係機関・団体との連携を強め、一層の農地利用集積を図っていく。

  3. 担い手育成・確保の目標
    • 下記「担い手育成・確保の目標」
  4. アクションプログラム実現のために必要な活動に関する事項
    • 国・地域における取組みとの連携
      国は、地域で考える担い手創成プロジェクトチームを設置し、全国担い手育成総合支援協議会と連携して、認定農業者の増加等担い手の育成・確保に向けた全国運動を展開しているところであり、本県においても平成19年1月23日、24日に、弘前市及び十和田市において当協議会等の主催により「認定農業者育成集中推進大会」を開催したほか、各地域でも意見交換会や検討会が開催されている。
      特に、全市町村において関係機関・団体で構成する地域担い手育成総合支援協議会が設置され、地域における推進体制が整備されていることから、引き続き、この担い手協議会が中心となって、関係者による地域情報、最新情報等の共有化や同じ認識、同じ方向で一体的に取り組んでいけるよう、定期的にミーティングを行うとともに、情報交換や進捗状況の確認、各構成員の行動計画づくりを行うなど、具体的な取組みを進めていくこととする。
      • 農政事務所等国機関との連携強化
      • 地域担い手育成総合支援協議会によるアクションプログラムの担い手育成目標達成に向けた活動
      • 推進チームによる市町村段階での目標達成のための活動支援
    • 担い手・地域リーダーの育成・ネットワーク化
      • 認定農業者連絡協議会の組織化と活動強化
      • 農業委員による認定志向農業者の認定支援
      • 集落営農の組織化に向けて主体的な役割を果たす地域リーダーの育成
    • 土地利用調整
      • 農用地利用改善団体の組織化の促進
      • 農地保有合理化事業や基盤整備事業の推進を通じた面的な利用集積
      • 農業委員会、市町村などによる農地流動化の推進
    • 経営改善に関する支援
      • 担い手の経営管理能力の向上等経営改善の促進
      • 担い手育成を目的とした国のハード・ソフト事業の活用の推進
  5. 平成18年度の活動実績
    • 本県において品目横断的経営安定対策の対象となる米は県内全域の基幹作物で、麦、大豆も転作営農の主力作物であり、その生産に取り組む農業者の経営安定を図っていく上で極めて重要であること、また、野菜や果樹などを含む国の支援全体が担い手に絞り込まれていく方向にあることを踏まえ、各市町村の地域担い手育成総合支援協議会と連携して、同対策の対象となる認定農業者と集落営農の育成に取り組んだ。
    1. 体制づくり
      • 本庁及び各地域県民局地域農林水産部・各地方農林水産事務所に設置していた品目横断的経営安定対策プロジェクトチームの拡充(51名→89名)
      • 県JA営農支援センターの拡充(3名→9名)
      • 県JA営農支援センター職員の地区担当制による集落の定期的な巡回指導・相談活動の実施(H18.5〜H19.2)
      • 18年度担い手育成集中推進月間の設定(第1期:H18.8.1〜8.31、第2期:H19.1.9〜2.28)
      • 月1回のペースで農政事務所を含む関係者による品目横断的経営安定対策推進打合せの開催(H18.9〜)
      • 認定農業者育成集中推進大会(津軽・県南会場)の開催(H19.1.23〜24)
    2. 働きかけの対象のリストアップ
      • 集落営農組織化を目指す集団・集落等に対する会計実務者(税理士等)の派遣による組織化に関する税務等研修会の実施。
      • 県内20地区のモデル組織を中心に集落営農の組織化と経営体質の強化をめざした「集落営農推進ローラー作戦」の展開
      • 集落リーダーを対象とした集落営農推進セミナーの開催
    3. 集落営農の育成
      • 地域水田農業ビジョンに位置づけられた担い手
      • 普及指導室が担い手育成として位置づけている重点指導対象農家
      • 県の生産組織等調査に基づく麦・大豆現行対策加入生産組織・個別農家
      • JA青森中央会担い手対策事業助成組織
      • 集落営農育成・確保緊急支援事業実施地区
      • 県の集落営農育成重点指導対象地区
    4. 活動の成果
      • こうした取組みにより、認定農業者は平成19年3月末現在で7,490経営体、平成17年度末に比べ2,833経営体の大幅な伸びとなったほか、集落営農では十和田市において県内初となる特定農業団体19組織が一斉に設立されるなど、これまで59の集落営農組織が設立している。
      • また、品目横断的経営安定対策の麦の加入状況は、認定農業者475経営体、集落営農24組織となり、加入率(19年産作付見込面積に対する加入申請面積)が99.1%に上った。
    5. 活動上の課題
      • 品目横断的経営安定対策の加入促進を図るためには、米のナラシ対策に対する理解を深めるとともに、国の米政策と連動した活動が重要である。
  6. 平成19年度の活動目標
    1. 本年度の活動の重点
      • 地域担い手育成総合支援協議会を核とした担い手育成活動の展開
        担い手の育成は、地域農業の将来展望に立って地域全体で取り組んでいくことが求められることから、地域担い手育成総合支援協議会が核となり、関係団体と連携して、認定農業者への誘導や集落営農組織の設立を強力に推進する。
        また、新規就農者については、将来の地域農業者の担い手候補者として各関係機関が共通の認識に立って、農地はもとより技術、経営、流通、販売までの総合的な指導を継続して展開するなど、確実に地域に定着できるよう地域ぐるみで支援を行う。
      • さらなる認定農業者の拡大〜産地づくりは担い手づくりから〜
        • 平成18年度は、地域担い手育成総合支援協議会、関係機関・団体が一体となって認定農業者育成運動を展開した結果、都府県では最も多い増加数となった。
          認定農業者の拡大の機運はこれまでになく高まってきており、この機会を逃さず、さらなる認定農業者の拡大・誘導に取り組むこととする。
        • 平成19年度から導入される認定農業者向けのメリット(スーパーL資金等の無利子化措置や融資を主体とした農業用機械施設等の導入支援など)の啓発活動に取り組む。
        • 国の野菜、果樹、畜産の品目別対策についても「担い手要件」が設定されたことから、事業説明会や研修会など、あらゆる機会をとらえ、水田作以外の農家への掘り起こし活動を強力に行う。
        • 認定農業者の農業経営改善計画の達成に向け、関係機関・団体が協力して支援を展開する。
        • 認定農業者の認定期間の5年を経過する農業者に対しては、新たな農業経営改善計画を作成して再認定を受けるよう指導する。
      • 集落営農推進ローラー作戦の展開
        • 平成18年9月に十和田市で特定農業団体19組織が設立されたほか、県内各地で品目横断的経営安定対策の加入に向け、集落営農組織の設立準備が進められているところであり、すでに設立された集落営農組織を先行事例として、現在、組織化に取り組んでいる地区が着実に組織化できるよう支援する。
        • 品目横断的経営安定対策に任意組織として加入した集落営農組織は、5年後の法人化が求められていることから、法人化に向けた準備活動の支援に取り組む。
        • さらに、同対策に加入した集落営農組織が安定的な経営に発展できるよう、マーケティングの視点に立って、新たな高収益作物の導入や販路開拓、担い手育成活動などに取り組むよう誘導・支援していく。
        • また、農用地の効率的な利用を図るために設立された農用地利用改善団体などの地権者の協力を得て、集落の安定的な土地利用関係に基づいた農業法人(「集落営農法人」という。)の設立を推進する。
    2. 本年度の活動事業
      • ワンストップ支援窓口の設置
      • 担い手アクションサポートチームの設置
      • 認定農業者拡大活動
        担い手育成・確保普及支援活動
        1.農業経営改善計画の個別作成指導
        2.担い手関連情報の提供活動
      • 経営改善能力向上支援活動
        (ア)経営相談・指導活動
         1.経営能力向上講習会の開催
         2.認定農業者フォローアップ活動の展開
         3.経営相談会の開催
         4.コンサルタント活動
         5.地域リーダー養成研修会の開催
         6.経営指導担当者研修会の開催
         7.農業法人化説明会の開催
         8.法人化指導担当者研修会
        (イ)スキルアップ支援活動
         1.経営改善・能力向上研修参加旅費の助成
         2.先進的経営体現地研修費・研修旅費の助成
         3.担い手交流会への参加
         4.優良活動発表会への参加
      • 担い手の組織化・活動支援
        担い手組織に対する活動費の助成
      • 担い手情報発信活動
        担い手優良活動事例の調査
      • 集落営農組織化・法人化活動
        (ア)地域営農システム確立活動
         1.集落営農会計研修の開催
         2.スペシャリスト派遣等個別訪問の実施
      • 集中的な技術・営農支援
        (ア)技術検討会等開催及び現地指導活動
        (イ)新品目・新技術の導入や販路拡大に向けた支援活動
      • 担い手経営革新促進支援
        土地利用型農業におけるモデル経営の普及促進
      • 農地の利用調整に関する地域活動推進支援
        担い手への農用地利用集積活動
      • 企画指導員・コーディネーター設置活動
        企画指導員・コーディネーターによる担い手育成・確保支援
      • 収入減少影響緩和対策交付金に係る積立金管理業務

担い手育成・確保の目標

  1. 認定農業者育成・確保の目標 (単位:経営体)
    区  分 現  状 平成19年度末 平成20年度末 平成21年度末
    認定農業者 7,490 8,500 9,500 10,000
    注1)現状値は、H19.3月末現在(県構造政策課調べ)

  2. 品目横断的経営安定対策に対応した集落営農の育成・確保の目標(単位:組織)
    区  分 現  状 平成19年度末 平成20年度末 平成21年度末
    集落営農組織 59 110 120 130
     

    特定農業団体・同様の要件を満たす組織

    52 100 100 100

    集落営農法人(特定農業法人含む)

    7 10 20 30
    注2)現状値は、H19.3.22現在(県構造政策課調べ)

  3. 担い手への農地の利用集積の目標 (単位:ha、%)
    区  分 現  状 平成19年度末 平成20年度末 平成21年度末

    担い手への農地の
    利用集積面積

    77,540 80,020 82,060 84,100

    担い手への
    利用集積率

    48.9 50.5 51.9 53.2
    注3)「農業経営基盤強化促進基本方針(H17.9月策定)」で定めたH26年度目標から試算。