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平成17年4月新潟県担い手育成総合支援協議会

  1. 担い手育成の基本方向
    1. 地域の実情に即した担い手の育成・確保に向けた基本的な考え方
      • 本県は南北に拓けた広大な県域を有し、豊かな自然環境に恵まれた立地条件を活かして、平野部、砂丘地、高冷地等でそれぞれ特徴ある農業が展開され、コシヒカリに代表される「新潟米」の高品質・安定生産、水田を活用した大豆・園芸作物の生産拡大、高収益・周年型を目指した園芸生産など、農業は地域の基幹産業として重要な役割を担っている。
      • 本県の農業構造は、総農家数、販売農家数とも年々減少し、兼業化の進展、農業就業者の高齢化・減少、担い手の不足などにより、農業生産意欲の減退や農村の活力低下が懸念される中で、地域農業の担い手となる認定農業者の確保・育成や、新規就農者の確保、担い手への農地集積の促進による経営規模の拡大、法人化による農業生産の合理化・経営体質の強化などが図られてきている。
      • 特に、土地利用型農業の基盤である農地の流動化については、「地域農業システムづくり運動」の展開等により、利用権設定率で16.5%(平成16年3月末現在全国第3位)と年々増加してきている。
        また、認定農業者等経営体及び経営体候補への集積シェアは約40%となっている。
      • しかしながら、新たな米政策の展開や食料・農業・農村基本計画の見直しなど国内外の産地間競争の激化、安全・安心な食料供給への消費者ニーズの高まりなど、農業、農をめぐる情勢は大きく変化しており、本県が今後とも、競争力と持続性を兼ね備えた総合食料供給県として発展するためには、これらの課題に対処する仕組みとして「地域農業システムづくり」を全県的に確立し、これを基本とした経営・生産対策の推進が求められている。
      • このため、21世紀初頭の10年間の本県農林水産業・農山漁村のあるべき姿を示す「にいがた農林水産ビジョン」に即し、経営感覚に優れた経営体及び経営体を目指す人材を確保・育成し、これらを中心とした効率的な営農体制を確立するとともに、消費者ニーズに即し、品質に優れた農産物をより有利に安定的に供給するための体制づくりを推進する。
      • 具体的には、それぞれの地域において、農業の目指すべき方向や取り組むべき課題を明確にし、地域の実態に即して、人(担い手)、土地(必要な農地)、もの(作物、施設、機械等)を最も効率的に組み合わせ、最大限の農業所得の確保と地域農業の維持発展を図る「地域農業システムの確立」を推進するとともに、地域農業システムの中心的役割 を担う経営体等の確保・育成及びこれら経営体等への農地利用集積を促進する。
  2. 効率的かつ安定的な農業経営の育成・確保方針
    1. 認定農業者の育成に関する基本方針
      • 市町村の経営体育成目標を達成するため、農業経営改善計画書の認定に際して客観性、透明性を確保し、経営改善に意欲ある農業者、園芸等の複合経営農業者及び、地域の実態に即して協業、共同利用組織等任意の生産組織などの主たる構成員(オペレーター等)や農業生産法人を積極的に認定する。
      • 認定農業者の育成支援については、農業経営改善計画の達成支援を重点とし、法人化や家族経営協定の締結などによる経営体の質的向上を推進するとともに、計画達成への関係機関・団体の支援が円滑に図られるよう認定農業者の組織化を推進する。
      • また、地域水田農業ビジョンの担い手リストに登載された未認定農業者の認定と、農業経営改善計画の計画期間を了した認定農業者の再認定を推進し対象となる認定農業者を事前に把握するとともに、新たな計画策定を重点的に支援する。
    2. 経営体及び認定農業者の現状と目標
        現状(H16.3) 平成22年目標
      認定農業者 9,567 11,000
      経営体数 2,119 10,000
      個別経営体 2,047 9,500
      組織経営体 72 500
    3. 農業経営の法人化の推進に関する基本方針
      • 経営体の体質強化を図る観点から、企業的な経営発展を目指す経営体及び農業生産組織については、積極的に法人化を促進する。
      • また、法人化の意義・重要性の啓発活動等を通じて農業経営の法人化を促進する。
    4. 担い手への農用地の利用集積に関する基本方針
      • 地域合意により担い手を明確化した上で、市町村段階でこれら担い手に対する農地利用集積の年度目標を設定し、農業委員及び農地保有合理化法人の活動強化を図るとともに、農地保有合理化事業、農地集積関連事業の活用などにより、認定農業者等経営体への加速的な農地利用集積を促進するとともに、連担化、団地化等の土地利用の質的向上を図り、関係機関・団体の連携の下に、それぞれの組織機能を十分活かし、土地利用型農業の低コスト化を積極的に推進する。
      • ほ場整備地区においては、農林・農地調整会議における、各機関の連携・役割を踏まえ、農地保有合理化事業等を活用して、認定農業者等担い手への面的な農地利用集積を積極的に推進する。
      • このため、ほ場整備事業の計画及び実施地区毎に、担い手等の特定と農地利用集積について、営農委員会を中心とした集落等の合意形成を進める。
    5. 担い手への農用地の利用集積目標
        農用地の利用集積目標面積
      現状(H16.3) 68,718ha
      平成22年目標 103,200ha
  3. アクション・プログラムの実現のために必要な活動等に関する事項
    1. 経営体を中心とした地域農業システムの確立
      1. 「地区営農プラン」等に基づき、地域の話し合いにより、経営体と兼業農家、高齢農業者、土地持ち非農家等がそれぞれ役割分担をする中で、経営体を中心とした効率的な営農体制を確立する。
      2. 集落や地域における農地、農作業の出し手、受け手農家が一体となった自主的な活動を促進するとともに、地区営農プランづくりなどを通じて、経営の規模拡大等意欲ある農業者への農地利用集積を推進する。
      3. 地域等の合意形成に基づき、システムの中心的な役割を担う意欲ある農業者等を経営体に育成するため、経営改善を目指す農業者の経営改善計画の策定と、市町村による認定を促進する。
        なお、認定にあたり、第三者機関から意見を聴取する等の客観的な立場からの意見聴取手続きを経るなど、客観性・透明性を確保できるよう体制づくりを支援する。
        また、経営改善計画の期間を満了する認定農業者に対しては、その経営の更なる向上に資するため、当初計画の実践結果の点検と新たな経営改善計画の作成指導等認定農業者の経営改善状況をフォローアップできる体制づくりを支援する。
      4. 市町村認定農業者組織や県認定農業者ネットワーク活動による認定農業者の自主活動を助長するとともに、システム確立に資する地域課題の解決活動を支援する。
      5. 農地・担い手に関する情報及び農用地の利用調整を一体的に推進するため、市町村(農 業委員会等)に設置している農地銀行活動の強化を図る。
      6. 県及び市町村段階における農地保有合理化法人の育成・活動強化とともに、相互の連携活動を推進する。
      7. 農地保有合理化法人等の活動強化により、経営体等担い手への農地の面的集積を促進するとともに、利用権設定と併せて農作業受委託を推進する。
      8. ほ場整備を通じて、経営体を中心とした効率的な営農体制の確立を推進するとともに、経営体等担い手への農地集積を促進する。
      9. 農業経営の多角化の推進により、経営の安定化と所得の確保を図る。
    2. 地域条件に即した経営体等の確保・育成
      1. 本県農業の持続的な発展を図るためには、地域農業の将来方向と育成すべき経営体の姿について地域の合意形成を促進し、これらに基づいて、地域条件に即した経営体等の確保・育成を推進する。
      2. 平場地域や中山間地域でも比較的立地条件に恵まれた地域においては、農地利用集積や農作業受委託の促進及び水田を活用した複合営農の展開などにより、生産性の高い個別経営体や組織経営体などの確保・育成を推進する。
      3. 主として中山間地域等条件不利地域で、経営体の確保・育成が難しい地域にあっては、兼業農家や高齢農家等が参画する集落営農組織や地域農業担い手公社などの育成を推進する。
    3. 経営体の発展方向・体質強化
      1. これからの本県農業を担う経営体は、生産技術のみならず経営管理や情報収集能力に優れ、生産物の有利販売など消費者ニーズに即したマーケティング戦略を持つことにより、 地域の他産業従事者並の労働時間と所得の実現を目指すこととする。
      2. このため、個別経営体については、農地の利用集積や園芸導入などにより、経営の規模拡大、複合化とともに、熟度に応じて法人化を推進する。
        また、法人化を選択しないまでも、世帯員の役割分担、就業条件、収益分配等を明確にし世帯員個々の経営能力が発揮できるよう、家族経営協定の締結を一層推進する。
      3. 法人などの組織経営体については、経営の合理化とともに農産加工や流通・販売分野への参入などにより経営の多角化を促進する。また、新規就農者の受け入れや地域における就業の場の提供など、地域農業の中核的な担い手としての役割が果たされるよう支援する。
      4. また、担い手育成総合支援協議会や農業生産法人育成指導センター等の支援活動を強化するとともに、認定農業者ネットワーク活動等、認定農業者の組織活動を支援する。
  4. 年度活動計画
    1. 活動上の課題
      • 高齢化の進展、外部環境の著しい変化が間近に迫る中で、将来の地域農業を担う担い手を確保し、その担い手への農地利用集積等を進め経営発展を促進することが必要。
      • 価格変動等のリスクを緩和し、県農業の持続的発展を図るため、担い手経営安定対策及び今後導入が予定される経営安定対策の対象となる農業者、水田面積シェアを拡大することが必要。
    2. 活動目標
      1. 当該年度における目標
        1. 経営体及び認定農業者の育成目標
            現状(H16.3) H17年度目標
          認定農業者 9,567 11,000
          経営体数 2,119 5,000
          個別経営体 2,047 3,650
          組織経営体 72 350
        2. 農業生産法人の育成目標
            現状(H17.1) H17年度の設立目標数
          農業生産法人(1戸1法人除く) 175 100
        3. 担い手への農用地の利用集積目標
            現状(H16.3) H17年度目標
          農用地の利用集積目標面積 68,718ha 81,200ha
  5. 当該年度における対策・課題ごとの取組
    1. 農業法人(農業生産法人)の設立(1戸1法人除く)
      1. 啓発活動の強化
        1. 農業情勢の変化が及ぼす地域農業への影響と農業法人(農業生産法人)の必要性についての啓発活動を強化
          1. 地域農業システムづくり運動を通じた啓発
          2. 中山間地直接支払制度を通じた啓発
          3. ほ場整備事業を通じた啓発
        2. 設立目標数の設定と対象組織の特定・明確化
          1. 地域目標設定により農業法人(農業生産法人)の設立を全県的に推進
          2. 対象組織のリスト化と関係機関との共有化
      2. 設立支援体制の整備
        1. JA、農業委員会等関係団体との一体的推進
        2. 税理士会との連携強化
        3. 県法人センターの機能強化(専門家の拡充)
        4. インストラクター活用による市町村支援体制の機能強化
      3. 機械・施設の条件整備支援
        1. 農林県単等の法人化支援策の活用
    2. 認定農業者の確保と経営体質強化
      1. 認定農業者の確保
        1. 水田農業ビジョン担い手リストに登載された未認定農業者の認定農業者への誘導
        2. 水田農業ビジョン担い手リストに登載された任意生産組織の法人化と認定農業者への誘導
      2. 認定農業者の経営体質強化
        1. 各種講座受講による経営管理能力向上
        2. 生産振興運動等を通じた経営の複合化・多角化の推進
        3. 家族経営協定締結、認定農業者組織への積極的参加
        4. 市町村における専任マネージャー設置等による支援体制整備
      3. 規模拡大支援による担い手経営安定対策の加入促進
    3. 経営体等への農地集積
      1. 地域農業システムづくり運動を通じた担い手への農地集積
      2. 農地保有合理化促進事業等農地集積事業の活用促進
      3. ほ場整備事業を通じた担い手への農地集積