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平成17年7月21日 高知県担い手育成総合支援協議会

  1. 地域の実情に即した担い手の育成・確保に向けた基本的な考え方
    • 平成17年3月に策定された「新たな食料・農業・農村基本計画」において、担い手(効率的かつ安定的な農業経営及び、これを目指して経営改善に取り組む農業経営)の明確化と支援の集中化・重点化が打ち出された。一方、本県は84%を林野が占め、耕地の比率が4.2%と低いため1戸当たりの経営耕地面積が狭い等、厳しい立地条件のもと、効率的かつ安定的な農業経営体とともに、集落営農、受委託組織、女性や高齢者などの多様な担い手が地域の農業経営を支えている。
    • 今後の担い手の育成・確保については、このような地域の特性を踏まえて、
      1. 今後の地域の農業経営を現実に担っていく担い手を、地域や関係機関・団体が話し合いを通じて明確化するとともに情報の共有化を図る。
      2. 明確化した担い手の支援のため、これまで関係機関・団体それぞれが行っていた 担い手関係対策や農地流動化対策等をより効果的に行うため、関係機関・団体を会員とする高知県担い手育成総合支援協議会(以下「県担い手協議会」という。)を設立した。
      3. 県担い手協議会の組織・運営にあたっては、特定の構成機関に業務が集中することのないよう、構成機関相互の役割分担を明確にし、各機関の機能を十分活用するとともに、特に地域担い手育成総合支援協議会(以下「地域担い手協議会」という。)との連携を密にして実効ある活動を展開するものとする。
  2. 効率的かつ安定的な農業経営の育成・確保方針
    1. 認定農業者の育成に関する基本方針
      • 地域の話し合いを通じて明確化された「担い手」のうち、認定農業者になっていない 個別経営(法人を含む)の認定農業者への誘導を促進する。
      • 認定後は、経営改善計画の実現に向けたフォロ−アップ活動を推進する。
      • また、認定農業者の相互研さんや情報交換等を目的とした市町村認定農業者連絡協議会の全市町村(地域)設立を目指す。
      ※認定農業者制度
      将来にわたる農業の維持・発展と活力ある農村の形成のためには、担い手の確保は喫緊の重要課題である。このため、農業・農村の担い手不足が深刻化するなか、農業が職業として選択されるよう魅力とやりがいのあるものにしていかなければならない。
      その中核となるのが認定農業者制度で、認定農業者には以下の役割が期待されている。そして、これを側面から手助けするのが、様々な支援措置である。
      1. 自己の経営の現状と課題を明らかにし、新たな目標を立て、今後の経営の発展プロセスを農業経営改善計画という形で具体化し、農業経営のスペシャリストを目指す。
      2. 経営の発展に取組む姿勢を内外にアピールし、経営者として資質を高める。
    2. 農業経営の法人化の推進に関する基本方針
      • 経営改善計画において経営の法人化を志向している者に対する支援を行う。また、法人化の意向はないが、経営の熟度が深まっている者に対して法人化の啓発を行う。
    3. 集落営農の組織化・法人化の推進に関する基本方針
      • 地域水田農業ビジョンで担い手に位置付けられた組織経営体を中心に、地域での話し合いを通じて明確化された集落営農組織について、
        1. 特定農業団体や特定農業法人へ育成すべき組織
        2. 地域農業の担い手として育成すべき組織
        3. 集落の農地維持を目的とした組織
      • に分類し、各組織の実態をもとに育成目標を設定し、その目標達成に向けた取り組みを推進する。
      • その他、中山間地域等直接支払制度による集落協定の締結をきっかけに、集落営農の組織化の推進を図る。
      • また、農用地利用改善団体が設立されている集落においては、団体における話し合い活動を基本にサービス事業体の育成を含め、集落営農の組織化を推進する。
        ※集落営農
        「集落」を単位として農業生産過程における一部または全部についての共同化
        ・統一化に関する合意の下に実施される営農(農業用機械の所有のみを共同で行う取組及び栽培協定または用排水の管理の合意のみの取組を行うものを除く。)をいう。(農林業センサス及び農業構造動態調査(地域就農等構造調査)による調査基準)
        ※農用地利用改善団体
        農業経営基盤強化促進法に基づいて、農用地利用改善事業を行う農事組合法人やその他の団体であって、市町村基本構想に定める基準に適合する区域(集落などの一定の地縁的なまとまりをもつ区域)をその団体の地区とし、かつ、当該地区内の農用地について権利を有する者の2/3以上が構成員である団体。
    4. 農業サービス事業体の育成に関する基本方針
      • 農作業受託等を行う農業機械銀行や市町村農業公社など、農業サービス事業体も地域の担い手として位置付け、育成していくとともに、一事業体ごとの作業受託量の増加や農地の利用集積等の拡大を促進する。
    5. 新規就農者の確保・育成に関する基本方針
      • 就農希望者の円滑な就農を図るため、就農相談窓口、就農研修、農地等の斡旋活動、融資制度の活用など、営農開始に向けた支援を実施する。
    6. 多様な担い手の育成に関する基本方針
      • 農業生産や地域社会で重要な役割を担っている女性農業者や高齢者等多様な担い手の活動を支援する。
        1. 家族経営協定の締結を推進し、女性農業者を担い手に位置付け農業経営への参画を促進するとともに、女性の認定農業者の拡大を推進する。
        2. 産直活動や交流活動等の支援による女性や高齢者の起業化を支援する。
        3. 高齢者の培ってきた知識や技術を活かし、高齢者に適した農業を推進する。
    7. 担い手への農用地の利用集積に関する基本方針
      • 市町村・農業委員会における農業者の意向把握に基づく利用調整を推進するとともに、農地保有合理化法人の農地の中間保有・再配分機能を活用し、認定農業者等の意欲ある担い手への農用地の利用集積を促進する。
  3. アクションプログラム実現のために必要な活動等に関する事項
    1. 県担い手協議会の構成員が連携・役割分担を行い、それぞれの機能を十分に活かした活動を行う。
    2. 地域担い手協議会との連携・協力を図り、かつその活動を支援する。
    3. 高知県水田農業推進協議会と連携・協力し活動を行う。
    4. 新規就農者支援ネットワークと連携・協力し活動を行う。
  4. 平成17年度の活動目標
    1. 平成17年度活動目標及び対策・課題ごとの取り組み
      1. 認定農業者
        • 今後育成すべき農業者
          • 認定農業者になっていない経営体のうち今後認定農業者に育成すべき担い手(今後育成すべき農業者)について、地域の関係機関・団体等の話合いを通じたリストアップ及びこのリストの共有化を推進する。
          • 地域担い手協議会における、認定農業者制度の普及啓発のためのPR活動をはじめ、担い手の認定農業者への誘導を促進する。すでに認定を志向している者については、適宜、経営改善計画の作成の支援等を推進する。
        • 基本構想水準到達者
          • 地域担い手協議会において、地域の担い手として認定農業者制度の趣旨の周知を図り、更なる経営改善の目標設定等を支援し認定農業者への誘導を促進する。
        • 認定農業者
          • 経営改善計画達成のため、経営管理能力の向上に向けた研修会等の開催や課題・問題点の把握及び改善策の検討等、地域担い手協議会におけるフォローアップ活動等を支援するとともに、経営改善に必要な情報の収集・提供を行う。
          • 認定農業者の相互研さんや情報交換等を目的とした市町村認定農業者連絡協議会の活動や、認定農業者連絡協議会の未組織市町村については設立を支援する。
        • 経営改善計画の終期到来者
          • 再認定に向けた新たな経営改善計画作成のために、経営診断等実施し、新たな目標の設定や手段の見直し、計画未達成者においては要因分析や課題解決方向等を検討するなど、地域担い手協議会におけるフォロ−アップ活動を支援する。
      2. 農業経営の法人化
        • 農業経営の法人化を志向する者や経営の熟度が深まっており法人化を進めたらよい者について、経営改善計画をもとに地域担い手協議会の話合いを通じたリストアップを推進するとともに、リストの情報について共有化を図る。
        • リストアップした経営体に対して、農業法人制度等を啓発するための情報提供及び説明会を開催する。
        • 農業経営の法人化を志向する者には、農業法人の設立手続き等の指導・助言等、的確に対応する。
        • 農業経営の法人化を志向する者からの相談に対し、的確に対応するため、地域担い手協議会における法人担当者を対象にした説明会を開く。
      3. 集落営農の組織化・法人化
        • 集落営農の組織化・法人化については、県水田農業推進協議会と連携・協力を図る。
        • 地域水田農業推進協議会が整理した「集落営農組織等整理シート」をもとに地域農業の担い手としての集落営農組織を明確化するとともに、各組織の育成目標に向かった支援を行う。
        • 集落営農の組織化・法人化を推進するため、農作業の受委託や農地の利用集積などを盛り込んだ集落協定の締結に向けた支援を行うとともに、集落のまとめ役となる地域リーダーの育成・確保に向けた研修会を開催する。
        • 集落営農の組織化・法人化を推進する取組み方針の決定や推進体制の確立を図るため、関係機関で構成する「集落営農組織化推進会議」を開催する。
        • 地域における集落営農の組織化・法人化を図るため、集落住民や県・地域担い手協議会関係者等で構成する「集落座談会」を開催する。
      4. 新規就農者
        • 就農相談窓口
          • 就農希望者が就農方針、研修方法、就農希望地等の選定をできるよう、地域担い手協議会と連携して支援を行う。
        • 就農希望者情報の共有
          • 市町村、農業振興センター、窪川アグリ体験塾(農業大学校研修課)など関係機関で構成する「新規就農者支援ネットワーク」と連携し、就農希望者の相談情報の共有を図る。
        • 研修体制の整備
          • 「農業者の下で研修生が指導を受ける研修体制」の構築及びこれに必要な研修生受入農業者のリスト化や掘り起こし活動を推進する。
        • 支援情報の共有
          • 研修生受入農業者及び新規就農者に提供可能な農地、住宅、遊休ハウス等の情報を地域担い手協議会と共有するとともに、就農希望者に対しこれらの情報提供を行う。
        • 就農計画策定の提案
          • 研修希望者が、研修開始から就農までの具体的な目標等を定めた就農計画を策定するよう、地域担い手協議会と連携して指導する。
        • 就農計画実現への支援
          • 研修希望者が策定した就農計画の実現に向け、地域担い手協議会と連携して支援を行う。
      5. 多様な担い手
        • 女性の社会参画及び経営参画への条件整備と啓発活動を推進し、女性の参画目標達成に向けた関係機関・団体等の取組みを支援する。
        • 高齢者の持つ能力や技術を活かし、無理なくできる高齢者に適した農業を推進する。
        • 地域特性を活かした農業の振興や地域の活性化等の一翼を担う産直活動、交流活動等の取組みを支援する。
      6. 農用地の利用集積
        • 認定農業者等担い手への農用地の利用集積のために、農作業受委託も含めて効果的な活用を推進する。
        • 遊休農地、遊休農地になる恐れのある農地のうち、利用の増進を図らなければならない農地(地域担い手協議会が設定する要活用農地)について、活用を推進する。
      7. 担い手の経営改善、能力向上、経営の多角化、高度化
        • 地域担い手協議会が、経営課題を抱えた担い手との直接面接による経営相談・診断等を行う活動を支援する。必要に応じ、県担い手協議会よりスペシャリストの派遣や専門的な経営相談会等を開催する。
        • 地域担い手協議会が行う、担い手のファロ−アップ活動を支援するため、地域担い手協議会を対象に、スペシャリスト等を講師に研修会を開催する。
        • 消費者や実需者等の多様なニ−ズに対応した農産物や加工品等の開発に向けた、経営の多様化・高度化事例を調査し、担い手に優良事例として情報提供したり、実需者等と結びつけるための商談会を開催する。
      8. 担い手の交流および優良活動事例調査
        • 認定農業者間の相互研さん、交流等を目的として県認定農業者サミットおよびブロック交流会を開催する。
        • 全国の認定農業者との相互研さん、交流、ネットワ−ク化等を目的に「全国認定農業者サミット」に積極的に参加する。
        • 優良な担い手を表彰するとともに、その取組みについて普及・啓発を行う。
  5. 担い手育成・確保の目標
      現  状 平成17年度末 平成21年度末
    現状数値 基準年 年間確保目標 年度末目標 目標数値※
    認定農業者 2,113 H17.3月末 220 2,333 3,726
    農業法人 78 H17.3月末 5 83 103
    集落営農 50 H17.6月末 5 55 60
    特定農業団体 0 H17.3月末 1 1 3
    特定農業法人 0 H17.3月末 1 1 2
    新規就農者 年間 124 H16.6.1 190 190 年間 190
    担い手への農地利用集積率 36.3% H17.3月末 プラス4.7ポイント 41% 45%