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消費者ニーズを把握するために何をすべきか?

有限会社エヌ・コンサルタンツ
代表取締役 中小企業診断士
西村 健一

■消費者ニーズには2種類あります

 消費者ニーズという言葉における「消費者」には2種類の意味があります。ひとつは、すべての消費者=マーケット全体という意味であり、もうひとつは皆さんが提供する生産物や商品を実際に購入される特定タイプのお客様という意味です。
 前者からとらえたいニーズは、消費者全体が持っていると思われる関心や、注目されてくるであろう新しいトレンドなど、今後の作目選定や商品開発の大きな方向性を考える上でのヒントとなるものです。
 一方、後者からとらえたいニーズとしては、自社が提供している生産物や商品、あるいは提供方法などについての改良・改善ポイントなどがあげられます。

■市場全体のニーズをとらえるためにすべきこと

 まず実践しなければならないのが、消費の現場に行って消費者の行動を観察するということです。生産物や商品を提供する側である皆さんにとって、市場(いちば)の卸業者や小売の仕入担当などが直接の取引先となるケースが多いと思います。そのため、その先にいる消費者の姿が見えにくくなってしまいがちです。もちろん取引先もニーズを教えてはくれますが、それはあくまでも取引先が考えている「いま売れ筋のものを仕入れたい」というニーズであり、実際の消費者ニーズとはズレが生じています。
 消費の現場とは具体的にはデパートや生鮮スーパーの売場、外食チェーン店、高級食材店など実際に消費者が購入している現場です。できれば定期的に観察し、誰が何をどれぐらい買っているのかをしっかり観察してみましょう。そしてなぜそれを買ったのかを考えてみましょう。大事なのは消費者の視点で考えてみることです。
 また、より広く情報収集を行うことも必要です。テレビや雑誌などのメディアには消費者ニーズに関するヒントがあふれています。できるだけ広く目を通し、消費者が何に関心を持っているかについて理解を深めましょう。
 実際に消費者がどのような購買活動をしているかについては、市場調査会社やシンクタンクなどが発行している調査レポート(高いもので10万円程度の価格)を入手して精読してみることもお薦めです。

■自社のお客様のニーズをとらえるためにすべきこと

 お客様と交流が可能な窓口を開く必要があります。直売所でのフェイス・ツー・フェイスでのやり取りや、通信販売でのお客様向けアンケート、電話やホームページなどでのお客様相談窓口の設置など、お客様の生の声が聞ける仕組みをあらかじめ作っておきましょう。
 このような窓口を通じた交流によってニーズの方向性が見えてきたならば、それが本当に多数の消費者のニーズであるかどうかを検証してみましょう。具体的には次のような手順でニーズ調査を実施するのが一般的です。

調査対象ニーズの明確化と調査対象の絞り込み
消費者に対して、ただ漫然と「ご要望をお聞かせ下さい」と質問を投げかけても具体的な回答は得られません。何のためにニーズ調査を行うのかをまず社内で十分に検討しましょう。そして、調査目的に適した対象作目や商品を選別し、食味・価格・分量など消費者から意見をいただきたい項目を決定します。次に、調査の対象とする消費者を地域、年齢、性別、家族構成などからある程度絞り込みます。これらの作業を行わずに調査を実施しようとしても、どこから手を着ければよいかがわからなくなり、調査結果も有意性のあるものになかなかなりません。
まずはインタビューを実施する
御得意様の中から調査対象に合致した方を何名か選び出してグループインタビューを行い、自社で想定しているニーズが正しいかどうかを検証しましょう。自社の御得意様に適した方がいらっしゃらない場合は、人脈などを通じて何名かの方に集まってもらいご意見を頂戴しましょう(消費者パネル調査といいます)。
アンケートを設計して実施する
インタビュー結果を基に消費者ニーズに関する仮説を立て、その仮説が正しいかどうかについて効果的に聞きだせるようアンケートを設計します。アンケートが完成したならば自社の顧客で調査対象になりそうな方々を中心にご協力を願い、回収した結果を分析していきます。分析の際には、少数意見を無視しないようにしてください。新しいニーズは少数意見であることが多いものです。

 市場全体のニーズであっても、自社の顧客に特定のニーズであっても、それに気付くためには皆さんが常日頃から生産者の立場からではなく「消費者の立場に立って」「よく観る、よく聴く、よく考える」ということが消費者ニーズをとらえるために最重要なことであることは言うまでもありません。

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