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消費者ニーズ調査を売れる商品の開発に活かす

有限会社エヌ・コンサルタンツ
代表取締役 中小企業診断士
西村 健一

■消費者が購入するのは作物ではなく商品

 よく売れるものとあまり売れないものの違いは何でしょうか?ブランド?品質?もちろんブランドや品質も重要ですが、もっと基本的なことに考えを及ぼさなければなりません。
 それは、売れるものは「消費者にとって購入する価値のあるもの(流通業者にとって仕入れたくなるもの)」、売れないものは「消費者にとって購入する価値がわからないもの(流通業者にとってどう売ればよいかわからないもの)」という点です。
 皆さんは生産の現場にいる立場です。作り手としての自負もあるでしょう。しかし、皆さんが作ったものは、そのままでは「作物」「加工品」でしかありません。消費者が購入するのはあくまでも「商品」です。
 商品とは、消費者にとって自分が持っている何らかのニーズを満たしてくれるために存在しているものです。良い商品とは、自分が持っているニーズを「このようにして満たします」という提案がなされているもの、つまり自分のために提供されていると消費者が感じるものだと言えます。消費者が「そうそう、これを探していたのよ」と思うようなものが良く売れる良い商品です。

■ニーズに対応した商品の開発ポイント

 消費者ニーズに対応した商品を開発しよう、という言葉は耳に心地よいですし間違いでもありません。しかし、実際皆さんが自社の生産物や加工品を消費者ニーズに対応させたものにするための商品開発に取り組もうとした時、どうすればよいのかわからなくなってしまいませんか?
 逆説的ですが、世の中には「すべての消費者に対応するような消費者ニーズ」というものは存在しません。一口に消費者といっても、その中身は千差万別・人それぞれです。
 実際にニーズに対応した商品開発を行おうとする場合には、まず消費者をいくつかの切り口で分類し(セグメンテーションといいます)、その中で自社にとって有望な消費者に絞り込み(ターゲッティングといいます)、他社との違いをわかりやすく示す(差別化あるいは市場でのポジショニングといいます)必要があります。ひとつずつ見ていきましょう。

消費者を分類する(セグメンテーション)
 消費者には多くのタイプがいます。例えば品質と価格という切り口ならば、品質重視で価格は高くても良い人、品質よりも価格が少しでも安い方を優先する人、というような正反対の消費者が市場には混在しています。安全と利便性、希少性と大衆性、いろいろな購入理由の切り口で消費者は分類することができます。皆さんが提供している生産物や加工品を購入する消費者を分類する上で、本当に適した切り口はなんでしょうか。皆さんの提供しているものの特徴から2つぐらいの切り口は出してみてください。
 では、そのような消費者は具体的にどのような地域の、どのような性別・年齢層・家族構成で、どれぐらいの所得水準で、どのような好みを持っている人たちでしょうか。この作業によって、消費者という「顔の見えないかたまり」から具体的な「プロフィールが分かるお客様」になってくるはずです。

開発する商品の有望顧客を定める(ターゲッティング)
 皆さんが新たな商品や作目を市場に出そうとする時、その新商品・新作目は誰に向かって提供しようとするのかを明確にする必要があります。その際には自社が今までまったく接触がなかったような消費者層よりは、自社の今までのお得意様に近い消費者のグループの方がその特性や好み、商品を購入する際の決め手などに対する理解がある(つまり消費者ニーズが良くわかっている)ため、成功可能性は高くなります。
 どの地域のどのようなタイプの消費者の持っている、どのようなニーズに対応したものを出すのか。新しい商品のターゲットが明確であればあるほど、購入してくれる消費者の予想世帯数や1件あたりの年間購入予想額などが計画しやすくなります。

他社との違いを明確にする(差別化、ポジショニング)
 生産者側が他社との差別化を図ろうとすると、どうしても食味や品質、価格など生産側が自分たちでわかりやすいと考えている部分にばかり目が行ってしまいます。消費者行動の観察やアンケートによって分析した、モノを購入する際の消費者の真のニーズや心理の動きを見落としてしまいます。せっかくターゲッティングしたのですから、その絞り込んだ消費者グループのニーズにアピールするような「売れる商品」にしなければ意味がありません。


 商品とは、モノそのものだけではありません。わかりやすい利点の説明(ネーミングやパッケージなども大事です)、買いやすい価格(あるいは希少なものだという高価格)、その消費者にとって手に入れたくなる流通経路(例えば、高機能食品はスーパーマーケットよりも会員制の通販で買いたい)、その商品に関する広告宣伝や記事などの露出のさせ方まで含まれます。
 事前に検討した、その商品のターゲットになる消費者に対して、最も効果的に訴えかけるにはどのような「商品作り」が必要かを、しっかりと事前に考えましょう。

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