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「7つのサイフ」で消費者心理を理解する

有限会社エヌ・コンサルタンツ
代表取締役 中小企業診断士
西村 健一

■消費者は特定の心理的な欲求を満足させたいからモノを選ぶ

 消費者は何に対してお金を払っているのでしょうか。例えば大根を1本買う時に、消費者は大根そのものが欲しいから買っているのではありません。その大根を使って特定の料理を作りたい、あるいは大根が含んでいる特定の栄養素を補給することで健康になりたい、大根を使った料理を食卓に並べることで家族団らんを演出したいというように、ある欲求を満たすための素材として大根にお金を払っているのです。
 皆さんが、より多くの消費者に自社の生産物や加工品を購入してもらいたいならば、消費者が購買活動を行う際にどのような心理的欲求を持つものなのかについて理解し、その欲求にアピールするように販売活動を行っていくべきです。
 今回はこのような消費者の持つ心理的欲求を検討する手法である(つまり、何に対して消費者はお金を払うかという)、「心理的7つのサイフ(The Seven"Psychological Purses"of Consumer Awareness)」という考え方を紹介します。

■消費者の購買心理を"7つのサイフ"で検討する


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 消費者が家庭生活を営む上での基盤である「理想的な家族関係」を作り上げたいという心理です。家庭の食卓だけでなく、家族での外食、家族旅行先での食事などの際に、より親密度が高くなるような食材開発やメニュー提案、広告宣伝活動などが考えられます。

⊂来に備える(Future Preparation)

 農業のマーケティングにおいて「将来に備える」という消費者心理に対応するものとしては、高齢化社会における健康維持という欲求に対する働きかけが考えられます。よりわかりやすい成分表示や、トレーサビリティに対する積極的な取り組みなどが、将来に備えたいという欲求に対応する側面を持っています。

おいしいものを食べる(Tasty Eating)

 人間は生きているかぎり食事を採り続けなければなりません。おいしくない食事よりもおいしい食事を求めるのは当然のことです。農業のマーケティングでは最もわかりやすい消費者心理かもしれません。
 しかし注意しなければならないのは、その食事における「おいしい」は世代や生活レベル、ライフスタイルなどによって大きく異なるということです。皆さんがどのような消費者層をターゲットにするかによって「お いしい」の具体的な内容が変わってくることを理解した上で商品開発を行いましょう。
 また、ここでいう「おいしい」は単に味覚だけではなく、視覚や嗅覚などの五感、食事をとる環境なども含まれることに注意してください。

ぜ己啓発する(Self-Enlightenment)

 自己啓発とは「わたしは○○について他の人よりもうまくできるようになりたい、よく知っているようになりたい」という心理です。これを農業マーケティングの世界で考えると、食材や加工品についてのより深い理解への欲求や、希少な食材に関する食体験の欲求などが挙げられます。生産手法の解説や地域産品の歴史などの提供のような、消費者の知的好奇心に訴求するプロモーションなどが有効でしょう。

イしゃれする(Fashion)

 衣食住という人間の消費欲求の3大要素全般に関しての品質の向上の心理です。ライフスタイルの品質向上と言うことができます。皆さんが行う活動としては、提供するものによって、消費者が望む方向にライフスタイルを変化させるような提案や働きかけになります。スローライフや最近流行しているLOHAS(ロハス:Lifestyles of Health and Sustainability=健康と地球環境に負荷をかけないライフスタイル)などの提案がこれにあたるでしょう。

Εャンブルする(Gamble)

 ギャンブルといっても単純に賭け事を示すわけではありません。むしろ今までやってみたかったけれども勇気がなくて出来なかったことや、欲しかったけれども買わずに来たこだわり商品の購入など、それまでの生活では必要性が高くないので手を出さなかったが、「この際だから」という心理での背伸びをした消費がこれにあたります。いうなれば賭け事をしているときのように緊張感や興奮を与えるもの、例えば高級食材の提供などがこれに対応します。

Г舛腓辰箸靴晋箜擇鬚垢襦A bit of Entertainment)

 いつもより少し良いものを買う、少しこだわったものを選ぶというような、ちょっとしたぜいたく品の購入や、親しいご近所とのホームパーティのようなちょっとした楽しみなど、「ギャンブル」ほど特別ではないけれども、いつもより少し楽しいものを得たいという消費者心理です。大事なのは、「大きな贅沢ではなく、少しの楽しみ」であるという点です。

■自社が適しているのはどのサイフか?

 皆さんが提供しているものは、7つのサイフのうちのどれからお金が支払われているでしょうか?これがわかったならば、今までよりもその欲求への対応を広告宣伝や商品のネーミング、包装、価格設定、あるいはホームページや説明書きなどでわかりやすく提示してみましょう。必ず効果があります。

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